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プロジェクトマネージャーが知っておきたいプロジェクト管理の原価管理とは?

赤字プロジェクトを回避するためには、プロジェクトの原価管理が欠かせません。今回は、プロジェクトマネージャーに欠かせないプロジェクト原価管理の手法を紹介します。

プロジェクト原価管理の必要性

ソフトウェアやシステム開発などのプロジェクトにおいて、正確な原価管理は欠かすことができません。プロジェクト管理は製造業や小売業に比べて費用を可視化することが難しいため、適切な原価管理が徹底できなければ、プロジェクトは赤字に陥ってしまうケースが少なくありません。

プロジェクト原価管理はただの原価計算とは異なる

プロジェクト原価管理の目的は、原価計算を通じて適切に原価を把握し、その必要に応じて意思決定のPDCAを回すことにあります。原価計算は原価管理のための手段の一つであり、原価計算によって把握した原価にもとづきながら、プロジェクト運営の良し悪しの判断や利益率の改善につなげていきます。

プロジェクト原価管理を行うべきメリット

プロジェクトの原価管理を行うことで、いくつかのメリットを享受することができます。例えば、原価管理を徹底することで、プロジェクト収支のバランスを見ることが可能になり、プロジェクトの採算が取れているかどうかを見極めることができるようになります。また、原価の現状に応じたプロジェクト運営によって、採算ラインを見ながら様々な対策を事前に講じることができます。こうして原価管理によって原価を常に意識することで、赤字プロジェクトを阻止することが可能になります。

プロジェクト原価計算の方法

プロジェクトの原価計算には様々な方法があります。プロジェクト管理の原価計算にあたっては、財務会計上のルールに縛られず、適切な原価計算方法を選ぶことが大切です。

個別原価計算

個々の製品ごとに原価を求める方法が個別原価計算です。クライアントからの発注にもとづいて製品を生産するケースでは個別原価計算を使用します。プロジェクト原価計算では、個別原価計算が基本となります。

総合原価計算

ある一定期間にかかった費用を、同じ期間に製造された製品の数量で割って求めるのが総合原価計算です。同じ製品を大量生産し、一定の価格で販売する製造業で主に採用されています。

部分原価計算

製品の製造にかかった費用の一部だけを原価として計算する方法が部分原価計算です。プロジェクト原価計算には、部分原価計算が主に用いられます。

全部原価計算

製造にかかった費用の全てを原価として一括して計算する方法が全部原価計算です。財務会計上は全部原価計算が用いられますが、売り上げと利益が必ずしも比例しないことから、プロジェクト原価計算には、部分原価計算の方が適しています。

標準原価計算

一つひとつの製品を製造するのに必要な原価の目安(標準原価)をあらかじめ設定しておくことで、粗利を求める方法が標準原価計算です。プロジェクト原価計算には、標準原価計算が主に用いられます。

実際原価計算

実際に発生した費用にもとづいて原価を求める方法が実際原価計算です。財務会計上は、実際原価計算が用いられます。

プロジェクトマネージャーが知っておくべき原価管理のポイント

プロジェクトにかかった費用やプロジェクトで得た利益は、最終的に財務会計を通じて適切に処理していきます。しかし、プロジェクトの途上では、毎月の費用を正確に把握できるよう、適切に原価を管理していく必要があります。 最後に、プロジェクトマネージャーが知っておくべき原価管理のポイントを押さえます。

プロジェクト進行中の財務会計では費用が計上されない

プロジェクト進行中は、財務会計の費用が計上されません。プロジェクトの完成時にまとめて収益と費用を計上することが一般的で、プロジェクトの途上では貸借対照表(B/S)の資産に該当する「仕掛品」として資産計上されます。このため、プロジェクトにどれくらいの費用がかかっているか正確に把握することができないため、有効な意思決定が下せないという課題があります。

プロジェクト管理の原価は大半が労務費となる

例えば、プロジェクト管理では、原価の大半が労務費になります。プロジェクトの進行中において月々の労務費は、「仕掛品」(B/S科目)として毎月計上されることになります。そして、プロジェクトが完成するとB/S科目の仕掛品からP/L科目の製造原価に振り替えられます。このように、プロジェクトの途上では、労務費は毎月の費用として計上されていないので、毎月の仕掛品として帳票に記帳することで、毎月の費用を正確に把握できるようにします。

まとめ

プロジェクト原価管理を徹底することで、赤字プロジェクトを回避しよう。

プロジェクト管理は費用の可視化が難しく、最終的にプロジェクトが赤字に陥ってしまうケースが少なくありません。原価管理の必要性や原価管理を行うメリットを熟知しながら、適切な原価管理を徹底することで、赤字プロジェクトを回避しましょう。