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IT企業における勤怠管理と工数管理の関連性

従業員の勤怠管理は使用者の責任かつ義務とみなされているため、どこの企業でも行われています。 一方、工数管理は必ずしも行われるわけではありませんが、売上に占める原価を把握することは企業の管理会計に関わる大切なデータですので、勤怠と工数の両方を管理している企業はたくさんあります。

中でもIT企業の場合、勤怠管理は人件費の把握や従業員の健康管理だけでなく、原価の把握にも関わる重要な要素ですので、工数管理と合わせて実施することが望ましいとされています。

今回はIT企業における勤怠管理と工数管理の意義や関連性について説明します。

IT企業における勤怠管理の意義

従業員の勤怠管理は通常、適正な賃金の支払いや過剰労働の防止を目的として行われます。
しかし、IT企業の場合は人件費の把握や従業員の健康管理だけでなく、さらに会計管理に関わる原価の把握にも役立ちます。
原価の種類は業種によって異なり、たとえば製造業の場合、原価の大半を占めるのは材料費です。

一方、ソフトウェアやユーザーサポートのような無形のサービスを提供するIT企業の場合、原価の大半を占めるのはプログラム開発やサポートを行う従業員の人件費です。
つまり、IT企業における勤怠管理は原価の把握にも繋がる重要な管理業務となります。

IT企業における工数管理の意義と勤怠管理との関連性

IT企業では勤怠管理が原価管理に繋がると説明しましたが、それには売上と社員の勤務時間を正確かつ詳細に関連づける必要があります。
ただ、IT企業では1つの案件に所属部署が異なるエンジニアが関わっていたり、1人のエンジニアが同時に複数の案件に従事したりすることが往々にして行われています。

そのため、所属部署ごとの人件費をそのまま原価に当てはめることは難しく、勤怠管理で得られる情報よりもさらに細かいデータを把握しなければなりません。

そこで必要となるのが、従業員1人あたりの作業量を表す「工数」の管理です。
工数管理を行えば、「誰が」「どの案件に」「どのくらい従事したか」といった情報から案件ごとの原価を把握できるようになります。

勤怠管理と工数管理を行う方法は2つある

従業員は勤務時間中何かしらの仕事に従事していますので、勤怠情報と工数情報の間で整合性がとれるよう管理している企業が多くを占めています。
その一方で、勤怠情報と工数情報を一致させずに管理している企業もあります。

それぞれの方法にメリット、デメリットがありますので、IT企業で勤怠管理と工数管理を同時に行う場合は自社に合った方法を選びましょう。

勤怠情報と工数情報を一致させて管理する方法

勤務時間と工数の合計は一致するという考えのもとに管理する方法です。
たとえば、9:00~18:00までの勤務時間中にAとBの案件に携わった場合、Aの案件は9:00~14:00までの4時間(1時間の休憩を除く)、Bの案件は14:00~18:00までの4時間従事したというように管理します。

逆に、1時間の休憩時間を除く8時間の勤務時間をAとBの案件に割り振って管理する方法もあります。

休憩時間を除く勤務時間のすべてが何かしらの案件に関連づけられているため、プロジェクトごとの工数を把握しやすく、実際の作業実態に基づいた原価計算を行えるところが特徴です。

また、原価の把握だけでなく、案件ごとの作業実態を分析することができるため、業務効率化にも役立ちます。

一方で、すべての勤怠情報を何らかの案件に割り振る作業は手間ひまがかかります。
特に1人で複数の案件に関わっている人は入力の手間が倍になるため、従業員の負担が大きくなりやすいところがネックです。

勤怠情報と工数情報を一致させずに管理する方法

勤務時間と工数の整合性をとらずに管理する方法です。
どのように管理するかは企業によって異なりますが、人数×日数で表す人日単位で管理する方法や、案件の進捗状況をもとにしたパーセンテージで管理する方法などが一般的です。

たとえばパーセンテージ管理の場合、9:00~18:00まで勤務した中でAとBの案件に携わり、前者は40%、後者は50%まで進捗したというように管理します。
すべての勤怠時間を作業に割り振る必要性がないため、入力の手間がかからないところが利点です。

一方で、工数と勤怠に整合性を持たせる方法に比べると作業実態が把握しにくく、厳密な原価計算を行えないところが難点です。

勤怠・工数管理をサポートしてくれるサービスを活用しよう

IT企業において、勤怠管理と工数管理は売上に対する原価を計算する際に役立ちます。
しかし、勤怠管理と工数管理を適正かつ効率的に行うのは難しく、Excelなどの表計算ソフトだけで管理するのは無理があります。

特に詳細なデータを求める場合、従業員に大きな負担がかかってしまうおそれがありますので、勤怠と工数を簡単に一元管理できるサービスの利用がおすすめです。