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プロジェクト失敗の要因は、工数見積もりの失敗にあり! 見積もりの精度を高める方法は?

成果物の要件不足、納期遅延、あるいは、予算超過のいずれかの状態が発生した場合、そのプロジェクトは失敗です。 一般的に、プロジェクトの成功率は30%と言われています。逆に言えば、実に、70%ものプロジェクトは失敗しているということ。

プロジェクトを失敗させる大きな要因の一つが、精度の低い工数見積もり、つまり、工数見積もりの失敗です。

では、どうして精度の低い工数見積もりを行なってしまうのでしょうか。工数見積もりの精度を高める方法とともに、解説していきます。

工数の見積もりが失敗する理由

工数見積もりが失敗する理由は、大きく3つあります。1つは、そもそもプロジェクトの仕様が確定していないから、もう1つは、何の根拠もなく、感覚だけで工数を見積もっているから。そして、バッファを持った見積もりになっていないからです。

仕様が確定していない

プロジェクトを立ち上げるときに、細かい仕様を決めずにスタートしてしまうことがあります。仕様が不明確なままでは、どんな作業が発生するかもわかりませんから、精度の高い見積もりを出すことはそもそも困難です。

仕様が確定していないと、ゴールが設定できませんので、いつまでもプロジェクトが完了しない状態に陥ってしまうことも。仮に、完了できたとしても、無駄な工数や費用をかけることになる可能性が高いため、プロジェクトの立ち上げからなるべく早めの段階で、仕様を確定させる必要があります。

感覚だけで工数を見積もっている

どのくらい工数がかかる?という質問をした際に、このくらいかなと即答する方がいらっしゃいます。一体何を根拠にその工数を導き出しているのでしょうか?

プロジェクトには、過去に完了したものに似たものもあれば、これまでにない新しいものもあります。

過去に対応したことのある作業であれば、その時の記憶を元に判断できるかもしれませんが、新しい作業の工数を感覚だけで見積もるのは危険です。思ったよりも簡単だったという場合はまだ良いですが、思ったより難しくて工数がかかってしまった場合は、一気に、プロジェクト失敗のリスクを引き上げることになります。

バッファを持った見積もりになっていない

仮に、実工数に近い見積もりを出したとしても、バッファを持っていなければ、その見積もりは失敗です。

プロジェクトにトラブルは付き物。予期せぬ事態が起こった場合に、工数やスケジュールの調整ができなければ、プロジェクトはそのまま失敗に終わります。

見積もりには必ずバッファを設けて、万が一トラブルが発生しても、プロジェクトが予定通りに完了できるようにする必要があります。

プロジェクトの失敗を防ぐための工数見積もり方法

見積もりには、いくつか手法があります。それぞれ、メリット・デメリットがあるので、プロジェクトの規模やタイプに合わせて、適切な見積もり方法を選びましょう。

三点見積もり

三点見積もりは、3つの時間を設定し、計算式で工数を導き出す方法です。

設定する3つの時間は、以下の通り。

標準値 最も現実的な時

楽観値 何もかもが上手く進んだ場合にかかる時間

悲観値 最悪事態が発生した場合にかかる時間

設定した時間を以下の式に当てはめると、工数を見積もることができます。

(標準値 × 4 + 楽観値 + 悲観値)÷ 6 = 見積もり時間

工数見積もりが簡単で、また、しっかりとバッファも設けられるため、見積もりの精度を高めることができます。

しかし、そもそも、ある程度根拠のある時間を設定しなければ、信用できる見積もりにならないため、過去に完了したものに近いプロジェクトか、プロジェクトの一部の作業の工数見積もりに活用するのが良いのではないでしょうか。

類推見積もり

類推見積もりは、過去に完了した類似するプロジェクトから工数を導き出す方法です。自分自身が対応したものでなくても、対応した人からヒアリングを行えばこの方法を活用することができ、比較的簡単に工数を見積もることができます。

デメリットとしては、プロジェクトごとの細かい内容の差や特有の条件などを考慮できないため、場合によっては見積もりの精度が低くなってしまうことも。また、属人性が高い方法のため、工数見積もりの元になったプロジェクトと同じ対応者か、技術レベルの同じ人をアサインしなければ、見積もり失敗となってしまう可能性もあります。

ボトムアップ見積もり

ボトムアップ見積もりは、プロジェクトの成果物から必要な作業を逆算し、各作業ごとに必要な工数をWBS法などで導き出す方法です。プロジェクトに必要な作業を細分化してから工数を見積もるので、漏れが少なく、精度の高い見積もりを出すことができます。

しかし、作業を細分化するためには、細かい要件まで把握する必要があるため、プロジェクトの初期段階ではこの方法を使うことができません。しっかりとした要件定義がされるまでは、別の見積もり方法を利用し、途中からこの方法に切り替えて見積もり精度を上げるのがおすすめです。

パラメトリック見積もり

パラメトリック見積もりは、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど工数も増えるという考え方を基に、目的変数を工数、説明変数をプロジェクト規模や要員として、数学的な関数で工数を導き出す方法です。LOC法・FP法、COCOMO/COCOMOⅡなど、さまざまな手法があり、プロジェクトの特性に応じて使い分けます。

数学的な関数で機械的に見積もるため、属人性が低く、誰が見積もっても同じ精度なのですが、蓄積されたデータやサンプル数に依存するため、過去のプロジェクト事例が少ない場合は、極端に精度が下がってしまう場合があります。

まとめ

4つの工数見積もり方法をご紹介してきましたが、どの方法もいつでも必ず精度の高い見積もりを出せるというものではありません。工数見積もりの精度の平均値をなるべく高くするには、プロジェクトごとに使い分けたり、場合によっては2つ以上を組み合わせるなど、現状、工数を見積もる方が工夫する必要があります。また、どの方法でも、データやサンプルが増えることで、より正確な見積もりに近づけることができますので、プロジェクトのデータをいかに蓄積できるかも重要です。

そこで、おすすめなのが、「プロジェクト管理ツール」の導入です。

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『GoldStone採算』を使えば、自動的にプロジェクトのデータを蓄積することができ、また、必要な時に、すぐデータを引き出して、工数見積もりに活用することができます。

また、メンバーの工数状況も把握でき、新規プロジェクトにアサインさせるメンバーを選んだり、工数の見直しを行う場合にも有用です。 工数見積もりの失敗を減らして、今後のプロジェクトの成功率を上げるために、『GoldStone採算』を導入しませんか?